Mamoru Fukui[1]
Mamoru Fukui likes to walk in the woods, along beach coasts and river banks. He gathers wood for sculpting – driftwood from the beach and river, twigs from mountains, leftover pieces from thinning and waste timber from the local bush. In each piece he selects, he sees unexpected possibilities in its colours, textures and form that draw him in. While he carves and polishes the wood he carefully notes the scars and dents – marks that talk to each piece of wood’s specific history. He identifies its character and applies different carving techniques to celebrate this – creating artisanal sculptures from natural resources.
The colour, texture and form of each sculpture is unique. In time, the wood from an ancient forest is transformed into a beautiful new face. These wood sculptures remind us of a primordial world. After a sculpture is finished, Mamoru wonders what the sculpture’s journey across time will be like…
森を巡り、河川敷を歩く。ふっと目に付く自然界からの賜物。朽ちた木々の美しい姿を見抜き、それまでの年月と切り刻まれた傷の歴史を想像しながら、これからの可能性を見出す。造形し、磨きをかけ、彼の手によって新たな命を吹きかけられる。その温もりと優しさと忍耐力が現れた作品は、コンクリートやスチールでできた現代建築に和らぎを与え、人々の生活に安堵をもたらす。自然の恵みを利用した素材の作品には揺るぎない安心感があり、インテリアのオブジェとして空間を美しく見せる魔力を秘めている。美しいフォルムを持った完成度の高い作品を手にし、彼が昔プロダクトデザインを手掛けていたことに納得する。デッサンをする時は、質感を描くことが幼少の頃から好きだったと彼は語る。
木々は長い年月をかけ形を変え、そんな中彼の手に止まり芸術品として生まれ変わるが、その変容もまた循環の一部であると思わせる。変化をし続けることの美しさがそこには存在する。
木の性質を手で感じとり、特徴を活かして美しい形に変化させる福井守。そんな静かな彼と木々の対話を木の断片から感じたくなり、自然と作品に手が伸びる。
莫大な時の中に生まれるこの瞬間を彼の作品を通して感じてほしい。
木を素材として活動する腕の立つ作家に出会うと、必ずと言っていいほど私は小さな嫉妬を覚える。真鍮の輝きやコンクリートの無機質さ、鉄の無限大の可能性など多くの素材が存在し全てを愛するが、やはり木は断然いい。これからの世代に残していきたい工芸/美術品になるにちがいない。